プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)は、複数の事業を行う企業・組織が「どこにどのように力を入れていくか?」を考える上で有用な概念です。市場分析をする際にも役に立ちますので是非自社に当てはめてみてくださいね!
弊社クライアント(沖縄音楽芸能事務所様)のPPMに照らしつつ解説していきます。

 

SunSeaNPPM

花形製品:市場も成長し、自社が高い市場シェアを獲得している商品・サービスのことで、この位置を維持できるよう、
継続的な投資が必要となるが、それに伴い、しっかり売上・利益も返ってくることが想定される
Ex) 沖縄観光産業全体を組織として捉えると「マリンレジャー業界(事業)」や「不動産産業(事業)」あたりですかね。
不動産は「いまだけ」ともいえるかもしれませんが(笑)

金のなる木:市場は既に成熟しているが、自社が高いシェアを誇るので、積極的な投資をしなくてもある程度安定した売上・利益を確保できる商品・サービスのこと。
Ex) 沖縄観光産業全体という組織では「リゾートホテル・ビジネスホテル業界(事業)」などが近いかもしれません。

問題児:市場の成長は見込めるが、自社の商品・サービスではシェアが低いので、花形製品に昇華していけるよう、積極的な投資が必要とされる。見返りとしての売上・利益はすぐには返ってこないかもしれないが、将来的に花形製品・金のなる木を目指して活動していく必要がある。
Ex) 沖縄観光産業全体という組織では「民泊」や「文化芸能事業」あたりだと思います。ポテンシャルは注目されてはいるが、マーケティング等のノウハウがまだ蓄積されておらず、各関係者が試行錯誤で事業を行なっている状態に感じます。
弊社クライアントは経営資源上、この属性が強い気がしています。

負け犬:市場からの撤退を検討する段階。市場も成長せず、自社の商品・サービスも弱い。まさに撤退すべきタイミングかもしれませんね。
Ex) 一般的に、飲食店業界はまさにここからのスタートです。飲食店を始めるのはオススメしない、とか厳しい声が聞かれるのはこのせいかもしれませんね。
飲食店の数は(出店したいと考えるような地域には…)すでに飽和状態といっても過言ではないくらい「価格競争」が起きています。つまり市場成長率はかなり低い状態です。そのような状態の中、初めて店舗をオープンする方にとっては、まずシェアゼロからのスタートです。
まさにPPMでいう「負け犬=撤退すべき状態」からオープンするんです。そりゃきついです。
そこで大事になるのは「負け犬からの復活劇をどう演出するか?」ですよね。

まずは「問題児」を目指していくのがベストかと。
市場を新たなところに見出し、市場成長率の高いところに移行していく、それがベストかと思います。
沖縄なら「やっぱりステーキ」さんはそれで成長したイメージです。
飲食業も飽和している、ステーキ屋さんも老舗が強く、シェアは獲得しづらい。
そこで「1,000円ステーキ」という「毎日食べられるお手頃ステーキ=お酒の締めにベスト」という市場を作り出し、
そこの市場を席巻した、という感じです。

★ケンミンショーで「締めステーキ」が全国的に知名度が上がった
★88ステーキやジャッキーステーキハウスなどの老舗ステーキ屋さんは、
知名度は高いが2000円〜3000円後半と毎日気軽に食べられる価格ではない

上記のような市場の動き・課題を理解していたからこそ見出せた新市場だったのかな、と思っています。
やっぱりステーキさんの価格帯を狙って88さんが「88ステーキJr.」なども出店していますね。
その意味でも現在のやっぱりステーキさんは「沖縄の締めステーキ市場」では大変高いシェアを誇っているかと思います。

弊社クライアントの事業で検討すると、現状としてそのサービスはすべて「問題児」段階にいると考えています。
将来的にはライブ施設の運営は「金のなる木」を目指し、アーティスト派遣事業は花形製品を目指して活動していくべきでしょう。

その具体的な戦略、というところは別のコラムでお話しますね!
PPMはいわゆる優先順位づけや投資額配分などに有用な概念として紹介しました〜( ´ ▽ ` )
では次回もお楽しみに!!